| 環境学研究系では、主体の認識し得るすべての事象としての環境の原点に立ち戻り、広範な環境に対するさまざまなアプローチによる理解と、それに基づく環境ソリューション確立の学術体系の構築をめざしている。 現代社会は人類史上まれにみる勢いで人間活動を増大させ、自然環境、社会文化環境、人工環境における負荷は急激に増大してきた。先進国は、長期にわたる経済成長にともない、多量に資源やエネルギーを消費し、同時に大量の排出物を放出している。他方、発展途上国は近年になって人口の急速な増加と生活圏の加速度的拡大を起こしている。その結果、大気中の温室効果ガスの増大、成層圏オゾンの減少、酸性雨、土壌侵食、森林の減少、生物多様性の喪失、砂漠化等の、地域規模さらには地球規模で進行する様々で複合的な環境問題にわれわれは直面している。 これら自然環境に対して、われわれ人類が科学技術の成果として作り出した機械や構造物などのシステム、都市、さらに世界に広がる電子情報網なども新しい環境である。これらは人間の生活や創造的活動、また多くの産業の場である。これらは人間が積極的に設計運用すべき環境であるが、これまで確固たる指導原理無く、無秩序かつ大量に生産されてきたが、人間の英知を発揮すべきところである。 さらに、民族紛争、南北問題、人口問題、食糧問題、エネルギー問題、マイノリティー問題、教育問題、老齢化社会問題等の様々な問題がある。これらもまた環境であり社会科学的な地域論や歴史学的方法論によって把握することがその解決の基本的な手法であろう。 このように現代社会の抱えている多くの問題に環境が深く関わっており、それらを理解し、さまざまな問題の解決法を与えることが緊急の課題である。 従来、理学、工学、農学、文学、社会学、法学、政治学、経済学といった既存の学問領域がそれぞれの領域からの接近を図ってきたが、個々の学問分野の確固たる枠組みが存在し、諸分野間の交流・協力は十分とはいえない。これに対して本研究系では環境問題の本質的な解決のために、自然とシステム、人間と人工物、社会と文化、国際環境という分野設定を行っている。各分野に多様なディシプリンを配し、さらに研究系として分野相互関係を総合的に解明し、きわめて広範な環境問題に対して総合的に考究し、再構築していくこととしている。このことが「学融合」のありようであり、失敗を恐れず「知の冒険」を実行することで従来の領域化した学問体系の桎梏を超えた新しい学問体系の構築を目指している。学生諸君には、このような新しい学問の構築を共にめざすことにより、環境学の様々な問題に的確に対処できる新しいタイプの人材となることを期待している。また、本研究系はこのようなユニークな環境学研究教育の世界的な拠点としての地位を確固たるものにしようとしている。 |
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環境学研究系長
大和裕幸 |