過去の開催一覧|

2010年度第3回学融合セミナー

講義:
2010年6月23日 16:30~18:00
場所:
新領域基盤棟大講義室(2C0)
雨宮 慶幸 教授

放射光科学への招待

雨宮 慶幸 教授

 放射光は、光速で走る電子から放射される強い光です。物質中の電子との相互 作用により、物質の原子・分子構造、電子状態を観測ことができます。放射光の 応用範囲は、物理学、化学、材料学、生物学、薬学、医学、環境学にわたってい ます。放射光は1980年代から利用が可能になり、その後、加速器技術の進歩 に伴い、その輝度(明るさ)が指数関数的に強くなり、今まで見えなかった物質 構造や電子状態の観測が可能になり、物質科学の先端研究において必要不可欠な 測定技術になっています。  放射光で何が見えるか? 輝度な高くなって新たに何が見えるようになってき たか? 今後、放射光源はどのように発展し行くのか? を説明し、研究室で 行っている実験例を紹介します。自然科学に興味を持つ、広い分野の学生の皆さ んに放射光に親近感を持って頂きたいと思っています。

渡邉 俊樹 教授

ヒトのがん発症機構モデルとしてのヒトレトロウイルスの発がん機構

渡邉 俊樹 教授

 HTLV-1は我が国に約110万人の感染者がおり、成人T細胞白血病(ATL)をひき 起こす。このウイルスは母乳で感染し、約50年以上のちに約5%のキャリアに 白血病が発症する。ウイルス感染による感染細胞の増殖とその後の遺伝子異常の 蓄積により腫瘍化するが、この後半は一般のヒトのがんの発症機構と一致し発が ん機構研究の格好のモデルである。感染細胞腫瘍化過程にかかわる分子異常の研 究の現状を紹介する。  

鯉渕 幸生 講師

沿岸域の水環境対策としてのサンゴの成長促進技術

鯉渕 幸生 講師

 サンゴ礁は,生物多様性を支えるとともに,漁業やレクリエーションの場とし て人間の利用から見ても,極めて重要な場である。また,幅広い浅海域を形成す るリーフ地形においては,砕波により波浪のエネルギーが減衰するために,波浪 の外力が著しく軽減されて,災害から陸域を守る機能を果たしている。本発表で は電気によるサンゴの成長促進技術を紹介すると伴に,サンゴの種苗の大量増殖 が可能な有性生殖増殖法を用いた電着基盤材の開発を行うことを目的に実施し た,幼生の着床や群体成長に関する野外実験と,光合成や石灰化に関する室内試 験を実施した結果を紹介する。