システム電磁エネルギー講座
堀 洋一 教授 ほり よういち

tel: 03-7136-3846
堀研究室のテーマは(1)電気自動車の制御,(2)ワイヤレス電力伝送システム, (3)人間親和型モーションコントロール,の三つで,藤本研のテーマと相互乗り入れをしています。専門分野は「制御工学の産業応用」であり,パワーエレクトロニクス,メカトロニクスがベースです。電気制御で大きな機械系が動いたり,その特性が激変したりするのが面白いのです。この原理をもとに,電気自動車やモーションコントロールに,大きな革新をもたらそうとしています。

電気自動車の制御:
 電気モータはエンジン車と比較して, (1)トルク応答が二桁以上速い, (2)モータ電流から発生トルクを知ることができる, また, (3)モータは小型化が可能なため各輪に分散配置することで, 高度な車両運動制御が実現できる, という特長があります。電気モータを各輪や電動パワステに搭載した電気自動車を製作し, タイヤのスリップ抑制制御, 車体姿勢制御, 車両運動と一体感のある操舵支援制御などを行っています。車体滑り角などは車両運動を支配する最も重要な状態変数の一つですが,直接観測できないため, カメラやGPSを利用した推定法を提案しました。
 また, 動力源として電気二重層キャパシタ(EDLC)のみを使用した小型電気自動車C-COMSも製作しました。キャパシタはパワー密度に優れ, 急速充電が可能, 端子電圧によりエネルギー残量が精確に把握できるなどの特長があり, C-COMSは30秒充電を行えば20分間走行できます。さらに, 電池とキャパシタのハイブリットシステムを製作し, エネルギー密度とパワー密度を両立する手法についても研究を行っています。

ワイヤレス電力伝送システム:
 電気とガソリンはエネルギー形態がまったく違うのに,どうして電気自動車が「止まって」「大きなエネルギーを」「短時間に」入れようとするのか不思議だと思いませんか?これからのクルマは電気で動き,インフラからエネルギーをもらいながら走るようになります。そのためには最後の数mを担うワイヤレス電力伝送が重要ですが,とくに磁界共鳴を使った方式が有望で,コイルの原理解明と実証実験を行って来ました。電気は起こしたらすぐ使うのがベストなのです。
 大きく位置がずれ,かつ大きなエアギャップにおいても,コイル間効率95%を達成しました。これからは,モータ/キャパシタ/ワイヤレスの時代になります。キャパシタ車はオートチャージのSuica,ワイヤレス電力伝送はエネルギー版ETCと言えます。
 他にも核廃棄物モニタリング用ワイヤレス給電,推定技術,磁界共鳴センサによる自動駐車/走行の研究を行なっています。

人間親和型モーションコントロール:
 福祉分野を想定した独特の制御手法の開発を目論むもので,人間親和型モーションコントロールという学術領域を作っています。人間や生物の動きからその特徴を学び,モータの高速制御性を利用して機器の機械特性を人間親和的に設計することをめざしています。走行や跳躍といったダイナミックな運動を自然に作り出すことのできる二関節筋構造を主としたバイオメカニクスを利用した新しいロボティクスの研究に力を入れています。また,車いすなど移動支援用パーソナルモビリティを様々な環境で利用できるよう,新たな制御方法を提案しています。
 現在は,(1)モータとバネを用いたジャンピングロボット,(2)二関節筋構造に学ぶロボティクス,(3)歩行時の衝撃力緩和とその応用,(4)推進力が得られる短下肢装具,(5)片手でも運転できる車椅子,(6)どんな坂でも安全かつ楽に運転できる車椅子,(7)ユーザの重心移動がわかる車椅子,などの研究をしています。


図上:電気自動車の制御、中:ワイヤレス電力伝送システム、下:人間親和型モーションコントロール
■学生へのメッセージ
 堀研究室は本郷の電気工学専攻に軸足をおきながら,総合試験所で5年,生産技術研究所で5年などを過ごしたあと,平成20年度から柏の先端エネルギー工学専攻に全面移転,同時に藤本博志准教授と研究室の一体運用を開始しました。堀・藤本研のどちらに配属されてもまったく同じです。
 動くものが好きで回路やハードの製作をやりたい人,一味違うロボット制御をやりたい人,自動車が好きでクルマ関係で働きたい人,高齢者や身障者のためになりたいと思っている人,それから宇宙関係をやりたい人も,堀・藤本研に来てください。
 企業,省庁,大学,学会,マスコミなど外部との共同研究や付き合いが多く,内外から見学者がたくさん来ます。イベントやデモが好きな人を歓迎します。また,調子の悪い人を助ける暖かい心をもった人を歓迎します。要領よく卒業できればいいと思っている人,基礎学力のない人,自己中心的な人は歓迎しません。宴会が多いので肝臓は強い方がいいです。日本文化は大事にしますが,英語は必須です。
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 基盤科学研究系 先端エネルギー工学専攻
〒277-8561千葉県柏市柏の葉 5-1-5
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 基盤科学研究系 先端エネルギー工学専攻